冬手原はふゆてばると読む。イチョウは中原地区のほの暗いスギ林の中に、1本だけおどろおどろしく立っている。乳房状のものの樹皮を煎じて飲むと乳が出るようになると信仰されていたという話が、豊後大野市公式サイトの天然記念物のページにある。『大野町史』では、煎じるではなく手を当てるとなっている。
樹高40m*、目通り幹周7.7m*で、市指定天然記念物。雌木で樹下には多くのギンナンが落ちている。大小のチチが至る所から下がっており、中には地面に達しているものもある。周囲には人家はないのだが、根元の小さな石の祠には新しいお花が供えられており、大切にされていることがわかる。
周囲は畑地で、1軒だけある中原公民館から裏に回って少し行った場所のスギ林の中に降りていくと見つかるのだが、案内板等がなく分かりにくい場所。なぜこのような場所にイチョウが植えられたか、以前は寺社などがあったのかなどは不明。
大分県大野町史刊行会:大分県大野町史 民俗編、大分県大野町史刊行会、1980、p870
豊後大野市公式サイト(天然記念物) https://www.bungo-ohno.jp/docs/2015022000639/
ブログ「大分県豊後大野市から気ままなブログ」http://ooitakenbungo.jugem.jp/?eid=456
*1991環境庁データベース
写真:奥 起久子撮影(2022/8/16)
資料提供:豊後大野市教育委員会