築上町の郊外京筑アグリラインの近くに、湧水と女鹿清水(みようがしょうず)観音堂がある。むかし炭焼きの村人が親子の鹿を助けたところ、夢に観音さまが出てきて、その鹿は観音の化身と名乗りお礼を言った。そこで鹿を介抱した湧き水のある場所に観音堂を建て祀ったという伝承がある。
この湧水を飲むと乳の出がよくなるといわれ、乳の観音さまの水として信仰されていると言う記事が『築城町誌』や「広報ちくじょう」、筑上町公式サイトにある。地元の上・下小山田地区の人たちが女鹿清水庵奉賛会を作って清掃活動を行なっており、水を汲みにくる人が絶えないとのこと。
観音堂は応永17年(1410)創建と伝えられており、周囲には古い石仏群や、天保時代の飢饉の時に独断で御蔵米を開けて配布し、責任をとって切腹した延塚卯右衛門を弔う石碑などがあり、歴史を物語っている。
築城町文化研究会:合本郷土史ついき、築城町文化研究会(築城町教育委員会内)、1998、p193〜197
築城町誌編纂委員会:築城町誌 下巻、築城町、2006、p348〜349
広報ちくじょう2023年4月号(No.221)「ふるさと歴史発見135」、p23
https://www.town.chikujo.fukuoka.jp/s057/030/100/R05/010/kouhou221.pdf
筑上町公式サイト https://www.town.chikujo.fukuoka.jp/map2/050/myougashouzu.html
環境省サイト「福岡県の代表的な湧き水」https://www.env.go.jp/water/yusui/result/sub4-2/PRE40-4-2.html
写真:河野 忠氏(立正大学)提供
資料提供:築上町教育委員会