子授け、乳授けの観音さまとして知られており、太田観音さんと呼ばれる。子のない人に子を授け、乳のない人に乳を授けるという信仰が今も受け継がれている、とお寺の公式サイトにある。
観音さまは赤ちゃんを抱いた姿で、秘仏となっており、12年に1回公開される。お地蔵さまの下にある溝を箒で掃くと乳の出がよくなるという伝承があるそうだが、現在は行われないとのこと(2022年1月ご住職より)。
安生寺(あんしょうじ)は山号を太田山という天台宗の寺院で、現在は尼寺である。起源は大変古く、養老6年(722)に行基が小堂を建て本尊聖観世音菩薩を安置したのが始まりという。
奈良時代頃この一帯を治めていたといわれる豪族の八並(やつなみ)長者が観音堂を建てたという。八並長者と観音堂について、次のような民話がある。
筑後に嫁入りしていた八並長者の娘が、長者と嫁ぎ先の争いで離縁されて赤ちゃんを連れて帰って来た後、丘の上の古井戸に身投げした。捜したところ井戸の底で赤ん坊を抱いた金色の観音さまが見つかり、長者は娘と子どもが観音様になったとしてここに観音堂を建てたという。
安生寺公式サイト http://www.tendai924.com/anshoji/
ブログ「筑紫次郎の伝説紀行」http://www5b.biglobe.ne.jp/~ms-koga/060kosazuke.html
写真:奥 起久子撮影(2022/05/05)