群塚(むれつか)神社に、子授け・安産・乳授けの伝承が、明神池の湧水に安産・乳授けの伝承が伝わる。
現地案内板に次のような記載がある。明神池の水は「誕生水」と言われ、飲むと安産になる。また天正年間、この地にあった吉田城の城主は子どもに恵まれなかったが、奥方が池で身を清め、境内にある誕生石に願掛けしたところ子どもを授かり、産後は境内のイチョウのチチを撫でて祈願したところ乳の出がよくなった。
『白水村史』等の資料では、「弁財天の誕生水を呑めば、乳が出て子どもが丈夫に育つといわれ、昔近郷在住から参拝する者が絶えなかったと伝えられている」とあり、イチョウにも湧き水にも乳のご利益の伝承があるようだ。
イチョウは林の中の目立たない場所にあって表示等はなく、幹が空洞になっているかなりの古木。
明神池は元々5070㎡あったそうだが、水害のため埋まったり公園整備で埋め立てられたりして狭くなり、現在は752 ㎡。しかし今でも1分間に2万トンの湧水量があるといわれ、阿蘇の伏流水として有名。くまもと名水100選と平成の名水100選に選定され、周囲一帯は明神池名水公園となっている。
群塚神社は創建の時期は不明だが、石鳥居は元禄13年(1700)に建てられたもの。南阿蘇村(旧白水村)吉田の総産神で、水波能女命(みずはのめのみこと)、國常立尊(くにとこたちのみこと)、國狭土尊(くにのさづちのみこと)の3神を祀っている。
白水村教育委員会:白水村の史跡と伝承、白水村、1995、p53
白水村史編纂委員会:白水村史、白水村、2007、p1029
サイト「神社探訪―群塚社」http://www.komainu.org/kumamoto/asogun_minamiasomura/mureduka/mureduka.html
写真:内岡 恵撮影(2008/5/13)
資料提供:南阿蘇村教育委員会