今寺観音は、九州自動車道宮原下りサービスエリアのすぐ裏手の林を抜けたところにある。観音堂に祀られている十一面観音菩薩は「お乳観音」と呼ばれ、乳授けのための参拝者が多かったという。
資料の書籍によると、乳が出るとそのお礼として乳の形のぬいぐるみを作り、2個を結えつけて奉納したとある。以前は天草、芦北、宇土、松橋(まつばせ)からも祈願に来たということで、現地案内板にも同じ記載がある。
堂内には奉納された乳型のぬいぐるみが残されており、管理をしている地元の方のお話では、現在でも時々夫婦連れやお姑さんがお嫁さんを連れてお参りに来るそうだ。
観音菩薩は木像の座像、玉眼で、肩は寄せ木で作られている。長禄4年(1461)の銘がある。本尊の右脇仏は不動明王、左脇仏は毘沙門天像。堂内には天井に季節の草花の絵が描かれている。三十六歌仙の絵馬は今寺地区の人たちが1戸1枚を奉納したと言われるもので、保存状態がとてもよくて美しい。
なお境内には神仏混淆の名残で、今寺大神宮という神社が同居している。
宮原町公民館:宮原の民俗、1982、p117
さいたま民俗文化研究所:早尾のスッキョン行事、2016、p45〜47
熊本県公式観光サイト「お乳観音」 https://kumamoto.guide/spots/detail/11427
ブログ「九州まちあるき・島めぐり」http://www1.cncm.ne.jp/~kinue60/yatusirokosoku.htm
写真:奥 起久子撮影(2021/05/04)
資料提供:氷川町教育委員会