日本助産師会出版

乳信仰探訪

赤瀬観音堂のオハツキイチョウ

赤瀬観音堂と3本のイチョウ
大きなイチョウにはチチがあり、「乳の神様」と祈願された

赤瀬観音堂は有明海を見下ろす高台にあり、境内に3本のイチョウがある。一番大きい海側の木は少し傾いており、樹高22m、目通り幹周3.8m、推定樹齢400年。九州では数少ないオハツキイチョウ*で、市指定天然記念物である。
「乳の神様」と言われていたとのことで、チチの皮を煎じて飲めば乳の出がよくなるという伝承があり、チチを切り取ったり皮を削り取ったりした跡が多くみられると、教育委員会の現地案内板や『新宇土市史』にある。
また実際に乳が出るようになった母親のお礼の手紙が観音堂の中に掲示してあると、熊本県総合博物館ネットワークポータルサイトに紹介されている。
この場所は現在標高34mなのだが、寛政4年(1792)に雲仙の眉山が崩落して起きた津波がこの場所まで到達したこと、このイチョウに登って避難した人がいたという話が伝わっていることもこのサイトにある。

*オハツキイチョウ:イチョウの変種で、一部の実が葉に直接付いている。全国では50樹ほど確認されている。

宇土市史編纂委員会:新宇土市史 通史編 第1巻、宇土市、2003、p144〜145
大塚昌江:宇土市赤瀬のオハツキイチョウ、熊本記念植物採集会機関誌『BOTANY』、36; 81〜84:1986
宇土市デジタルミュ―ジアム https://www.city.uto.lg.jp/museum/article/view/25/228.html
熊本県総合博物館ネットワーク・ポータルサイト https://kumamoto-museum.net/blog/archives/chiiki/1143
写真:奥 起久子撮影(2021/05/04)
資料提供:宇土市教育委員会

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